■チャック・ノリスが、1986年に『デルタ・フォース』公開時に初来日した際の記事です。
「人生にはポジティブな道とネガティブな道がある。
いつでもいつでもポジティブに明るい方に自分を求めて歩んでいかなくちゃね。
ボクの『ボーイズ』(空手学校の生徒を含めた息子達)に、いつもいつも言うのだけど、麻薬常用で『ハイ』な気分になっても、いずれ『ダウン』になる。
ゴールを目指して一生懸命にやってる『ハイ』の状態と言うのは、素晴らしく自然でエキサイティングな『ハイ』なんだよ!ってね」
チャック・ノリスの人生哲学は、「やってやれない事は無い!」だそうです。
「空手は、日本から来たものだし、日本で成功できるという事が、今のボクの一番大きなゴールなんだ。
今まで、どうして来なかったかと言うと、役者として『黒帯』とは言えなかったからさ。
9年前(来日時は1986年)の最初の映画のときはヒドかったよ、芝居のイロハも知らなかった(笑)」
空手アクションとしては、去年公開された『野獣捜査線』の方が面白かったと思いますが?
「うん、あの映画は批評家のウケも良かったし、アクションにしても演技にしてもボク自身のベスト・フィルムだと思う。
あの時キャンペーンに来たかったんだけど、次の映画の撮影に入っちゃったんだ。
ただ『デルタ・フォース』は、今や世界的な大問題である『テロリズム』に関して大きなメッセージを込めた映画なんだよね。
感情的なドラマとしても良くできていると思うし、皆にも見てもらいたいな」
「去年<スタントマン・オブ・ザ・イヤー>と言う賞を『地獄のコマンド』で受賞してね。
これは凄く嬉しかった。アカデミー賞を貰うより嬉しい。スタントって言うのは命がけの仕事だし、相手がいる場合、信頼のおける相手じゃないとマズイんだ。
ボクが一匹狼の役が多いのも実はそのせいでね。相手の命の責任も負わなくちゃならないでしょ。」
『デルタ・フォース』では、ビルを爆破するシーンでスタントマンが飛び出してきたところ、
誰がが間違えて「カット」と言ってしまったらしくそのスタントマンがビルの中に戻ってしまい大やけどを負う事故があったそうです。
なおその場面は映画で使われています。
「『野獣捜査線』の列車の上でのファイトシーンなんか、一人がバランスを失ったら二人とも大怪我してしまう。
相手のスタントマンがボクじゃ『信頼できないからイヤだ』って言ったんだよね。
だから『もしボクが君のレベルにそえないなら止めるから』と言ってリハーサルした結果、彼も納得してくれたんだ。」
チャック・ノリスは『デルタ・フォース』までには、まだ1回しか怪我をしたことがないそうです。
その一回とは『地獄のヒーロー』の時だそうです。怪我をしない為に毎日3時間のトレーニングを絶対に欠かさないようにしています。
チャックの息子マイクは役者として成長中との事。10年間チャックの映画に端役で出演してたが、このほど『ボーン・アメリカン』と言う映画で堂々の主役をはることになりました。
「彼(マイク)にはショーン・ペンのような大きさがある。役者としてはボクよりもずっと優れているし、もっともっと活躍してほしいね。
ボクは実のところ”しゃべり”は退屈でね。スタントをやってる時が一番エキサイティングなんだ。ラブ・シーンがあまりない?
いやそうなんだ、アクションの方で手一杯で中々そこまでは手がまわらなくてね(笑)次の映画ではコメディ(ファイアーウォーカーと考えられます)に挑戦しているんだけど、アクション以外の演技は、まだまだこれからさ。」
「第二のマックイーンが目標さ!」彼に役者への道を勧めてくれたのが今は亡きマックイーン。
最初は「冗談ではない」と思ったそうですが、一旦こうと決めたなら絶対意志を曲げないチャック・ノリスは、着実に努力を積み重ねて現在のスターの地位を獲得しました。
クリント・イーストウッドを超えるアクション・スターと宣伝されていますが、彼についてはどう思っているのでしょうか?
「彼(イーストウッド)は、すごく偉大なスターだと思うし、そういう意味では同じように日本でもビックでポピュラーになりたいと思うけど、
役者としては彼のようになりたい訳じゃないよ。アクティングのカギは自分のキャラクターを生かすことだからね。これはマックイーンのアドバイスなんだよ。」
『地獄のヒーロー』『デルタ・フォース』はシルベスター・スタローンの『ランボー』と路線にもよく似てますが彼についてはどうでしょうか?
「アクション映画としては類似してるけど、スターとしては彼はボクなんかよりもずっとビックでしょ。
ボクは決してイーストウッドやスタローンと競争しようとは思っていない。」
希望としては、個性派の役者に台詞の部分を多くやってもらい、
ここ一番という所で、彼が言葉少なくキメるとのがいう良いと言います。(寡黙な男こそ男だと言う事でしょうか)
「次に目指している目標と言えば、マーシャル・アーツ(格闘技)のドキュメンタリーを作ること。
それから西部劇も是非やりたい。マックイーンにもらったガン・ベルトと付けて出られたら最高だな。
拳銃をガンガン撃ちまくるようなハデなのをやりたいね。」(これに付いては、後のテレビドラマ、『炎のテキサス・レンジャー』が連想できます。)
起用したい監督は『シルバラード』のローレンス・カスダンと言います。新しい所にも目を向けているんですね。(上記の映画は1985年の映画でケビン・コストナーが主演です。)
「エンターテイメントは沢山見ているよ。アクション映画に限らず、コメディでも何でも。やっぱり映画は見て面白いものが良いよ。」
今まで彼のアクションスタント・コーディネーターをやってきた弟も役者としてデビューしました。
「家族でコンペティション(競争)さ!」とチャック・ノリスは誇らしげに笑いました。
「これからどんなキャラクターを演じたいかって?やっぱり、マックイーンの持ってるキャラクターだね。」
以上のインタビューは、4月3日帝国ホテルで行われた記者会見です。始終ニコヤカだったそうです。
チャックへのインタビューは、内海陽子さんが担当されました。
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